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映画『怪物』、ネタバレあり、監督、是枝裕和

是枝裕和監督が描く、人間の複雑さと真実の曖昧さ

ネタバレを含んでいるので注意してください。

監督紹介

この作品、是枝裕和監督が手掛けた2023年公開の映画で、脚本は坂元裕二氏が担当し、音楽は故坂本龍一氏が手がけています。

第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。主演は安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太が務め、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子らが出演。

是枝監督はこれまでに『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞するなどしています。

登場人物

麦野早織(むぎの さおり)
演:安藤サクラ
湊の母親。シングルマザー。


麦野湊(むぎの みなと)
演:黒川想矢(幼少期:黒川晏慈)
早織の息子。小学5年生。


保利道敏(ほり みちとし)
演:永山瑛太
湊と依里の担任教師。


星川依里(ほしかわ より)
演:柊木陽太
湊の同級生。小学5年生。


鈴村広奈(すずむら ひろな)
演:高畑充希
保利の恋人。


正田文昭(しょうだ ふみあき)
演:角田晃広
湊と依里が通う小学校の教頭。


星川清高(ほしかわ きよたか)
演:中村獅童
依里の父親。シングルファーザー。


伏見真木子(ふしみ まきこ)
演:田中裕子
小学校の校長。交通事故で孫を亡くしている。


品川友行(しながわ ともゆき)
演:黒田大輔
小学校の学年主任。


神崎信次(かんざき しんじ)
演:森岡龍
湊が2年生の時の担任教師。


八島万里子(やしま まりこ)
演:北浦愛
保利の同僚の教師。

あらすじ

この物語は、シングルマザーの麦野早織の息子・湊(みなと)と同級生の星川依里(より)を中心に展開していきます。そして湊が学校で怪我をしたことから、ストーリーが一気に動き出す。

湊の母、早織が学校に乗り込み直接校長へ苦情を入れる。しかし何かがおかしい。校長を含め他の教員が形式通りの対応でこのトラブルを収めようとしているのは明らか。それが早織の怒りに火を注ぐ結果に。

学校での出来事が大きな騒動に発展し、保利教師一同VS早織の対立が。しかし物語が進むにつれて、湊と依里の間に何が起こったのか、その真相を大人たちと子供たちの視点から見せられていく。

早織は息子を守るために必死になり、見方を変えるとモンスターペアレント化する。その反対に保利は教師としての責任を感じつつも、学校の組織を守ろうとし、それがまた常識の無い人間にも見えたりする、

依里の父親である星川清高も、依里を守るために奔走する。清高が知っている男性象とかけ離れていく依里に困惑し分からなくなっていく。ひょっとすると、清高自身も世間の普通と言われる性に苦しめられていたのかもしれない。その反動が暴言、暴力として依里に向かっているのでは、、、。

登場人物達の視点が一本の線に繋がるとき、『怪物』が一体なんであるか正体を現す。それは私とあなたにも確かにいる。

ネットのコメント

この映画を観た多くの人が、その複雑な構造と深い洞察に感銘を受けているようです。ある人は、「一度見ただけでは理解しきれない奥深さがある」と感想を言っています。確かに、この映画は単純に筋を追うだけでは十分に味わえない、複雑な魅力を持っています。

一度観ただけでは、見逃しているシーンがたくさんあるのです。セリフ、表情、そういったのを見返すと、また違った印象を受ける不思議な作品なのです。

その反対に「展開がゆっくりで退屈だった」という意見も見られます。観る人によって、まるで違う表情を見せるこの作品は間違いなく傑作です。

ちなみに、退屈なのは、あなたが今見るタイミングでは無かったのかもしれません。誰かが言っていたセリフですが、タイミングが違っただけです。

また時間が経ち、改めて観てみると違う感想を持つかもしれません。

そして、「怪物とは何か」という問いかけに対する答えが、観る人によって異なるという点も、この作品の魅力の一つです。ある人は社会システムそのものを「怪物」と捉え、また別の人は人間の中にある偏見や先入観を「怪物」と捉えるかもしれません。

観終わった後の衝撃

この映画は最後までイケてると思います。ラストに坂本龍一さんの『AQUA』が流れてエンドロールになります。

湊と依里の二人が笑顔で飛び跳ねながら、何か吹っ切れたような、何か大きな壁を乗り越えたような、そんな感じで青々とした草むらを駆けていく。夏の日差しが眩しく、そのシーンになぜか妙な懐かしさを感じた。

なんだろ、『あぁ、あった、俺にもあったよ、こんな時期。』そう心の中でつぶやいた。

そのバックで静かに流れているAQUAとは対照的だった。対照的だったからこそ、より胸に迫るものがあり、エンドールのエンドまで見入って、聞き入ってしまった。

この映画が伝えたかったことは、一体なんだろうか?偏見の怖さ、社会システムの欠陥と理不尽さ、人間の弱さ、色々あるだろう。

でも、一言で表すのはとても難しい。そんな感想を持たされてしまった。あなたはどう感じるだろうか。ぜひ観てもらいたい。

この記事を書いた人
まさ

小説の構造・結末・テーマを徹底考察。
「ただ読むだけ、聴くだけでは終わらせない」
考察の過程で、作品に込められた意図や、物語の裏にある仕掛けを読み解くのが醍醐味。
特にミステリー好きな方に、新たな視点を提供できれば嬉しいです!

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